琵琶湖を抱える滋賀の文化は水とともに育ったものだといえる。湖へ注ぐ百
余本の川々。山々で豊かに水をたくわえ、人の生活を潤す。水の美しさは動き
の中にある。絶えず湧き、溢れ、流れ、輪廻をくり返し、気の遠くなるような
永遠を、自在に姿を変え、形を変え、人間と深くかかわる。人は、母の胎内で
水にまどろんでいたせいだろうか、水のある風景に心安らぎ、心奪われる。
緑が萌えたつ五月、青い鈴鹿山脈の麓の町、土山町の、野洲川の上流の、
さらにその支流のほとりに立った時、綿々と続く、生の営みが今さらながらに、
なんて輝かしく思えたことだろう。
手を浸すのさえ、ためらってしまいそうな澄んだ、水。緑陰に白い飛沫が
目にしみた。静かないのちの重みがあった。 |

野洲川にかかる若鮎橋と鈴鹿の山. |
|