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近江舞子・
白砂青松の砂浜の歴史
 「涼風・雄松崎の白汀」は、近江舞子の白砂青松
の浜。琵琶湖湖岸線二三五キロメートル余の中でも
特に美しいところだ。静かな内湖を抱えて琵琶湖に
突き出た雄松崎。打ち寄せる小さな波があればこそ
水があると判るほどに、水は透明。水底からはサラ
サラと砂の転がる音が聞こえてきそうに清らかだ。
まさに白汀。西近江路を古代、〈佐々那美道(さざ
なみじ)〉といったということも納得できる。
 この湖岸も比良と同じで眺めてよし、アクティブ
に行動してなおよし、の浜である。水遊びの楽しい
夏は言うまでもないが、今は季節を問わず湖を楽し
む人たちが増えた。
 この美しい砂浜が元々はこうではなく、万葉のこ
ろはいい港であった、という話も件(くだん)のチ
ャレンジ比良で一緒になった方から聞いた。塩津や
海津などと並ぶいい港で、湖上交通の拠点の一つだ
ったというのだ。万葉集(三−二七四) で宮廷歌
人の一人とされる高市黒人(たけちのくろひと)の
歌に「吾が船は比良の湊にこぎ泊(は)てむ沖へな
放(さか)りさ夜更けにけり(私の船は比良の湊に
こぎ泊まるだろう。岸を離れて沖をばこぐな。夜が
更けてしまった)」というのがある。ということは
船が着けたのである。今は想像もできないが…。実
はこの砂浜も比良の山がもたらしたものだという。
比良山地と湖の間は距離がなく川が短い。流れの傾
斜も急であり、その上、比良山地は花崗岩で崩れ易
く、長い年月のうちに河口付近は比良の崩れた土砂
がたまり、砂浜になっていったのだという。自然の
ゆっくりした、けれど、大きな呼吸に溜め息が出る。

琵琶湖につきでた雄松崎が抱える内湖

上:湖を楽しむ人は夏だけとは限らなくなった
  (近江舞子)
下:近江舞子の水。風が吹くと光が揺れて、  湖の底がユラユラする。
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