| 「瀬田(せた)の夕照(せきしょう)」「石山(いしやま)の秋月(しゅうげつ)」「粟津(あわづ)の晴嵐(せいらん)」「三井(みい)の晩鐘(ばんしょう)」「唐崎(からさき)の夜雨(やう)」「比良(ひら)の暮雪(ぼせつ)」「堅田(かたた)の落雁(らくがん)」「矢橋(やばせ)の帰帆(きはん)」。
近江八景である。この近江八景は室町時代に京都の建仁寺や天竜寺の僧たちが中国最大の湖の洞庭湖(どうていこ)の浦湘(しょうしょう)八景にちなんで、琵琶湖周辺の美しい地とその地の最も美しい表情を選び、それを関白近衛政家が後陽成天皇に提言して決まったとされている。世に知られるようになったのは江戸時代末、浮世絵師の歌川(安藤)広重が絵にしてから。が、この八景は湖南の風物中心に選ばれていたため、昭和になって琵琶湖が国定公園になったとき、滋賀県が琵琶湖全体を視野に「琵琶湖八景」を選定した。昭和二十五年のことである。
「夕陽(せきよう)・瀬田石山の清流」「煙雨(えんう)・比叡の樹林」「涼風・雄松崎(おまつざき)の白汀(はくてい)」「暁霧(ぎょうむ)・海津大崎(かいづおおさき)の岩礁」「新雪・賤ヶ岳(しずがたけ)の大観(たいかん)」「月明・彦根の古城」「春色(しゅんしょく)・安土八幡(あづちはちまん)の水郷」「深緑・竹生島(ちくぶしま)の沈影」の八景だ。
近江八景、琵琶湖八景、その両方に湖西の町、志賀町の二景が選ばれている。
「比良の暮雪」「涼風・雄松崎の白汀」。つまり、この町は滋賀県を代表する景観の
町なのである。
|