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鏡山というのは、天日槍が但馬に移る時に、鏡を埋めていったからだ、という伝説があるが、遠くか
ら見ると確かに稜線に円い鏡を載せたようにも見える。古くから歌に詠み込まれてきた名山だ。
この鏡山(標高三八五メートル)はまたの名を竜王山というのだが、竜王町にはもうひとつ、竜王山
の名をもつ山がある。雪野山(ゆきの)(標高三〇九メートル)である。竜王町の広々とした田園地帯を
挟んで鏡山と相対している。
鏡山も山中や山麓から古墳や須恵器の窯跡、陶片など高い文化を想わせるものが出土しているが、雪
野山もまた、五〜七世紀の古墳が二百基以上も発見されているロマンの地だ。
それにしてもこの広々とした田園、ふたつの山裾に見る高い文化…。ここがその昔、特別な地であっ
たことがうかがえる。八日市の船岡山周辺からこの辺りにかけては蒲生野(がもうの)と呼ばれる皇室の
遊猟のための原野だったのである。額田王(ぬかたのおおきみ)と大海人皇子(おおあまのおうじ)が恋の
歌をおおらかに唱和したのがこの原野である。
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