財団法人 滋賀県建築住宅センター
まちづくりインデックス まちづくり情報へ

 
竜王町 ▲まちづくりインデックス

 
町名になった二つの竜王山

 鏡山というのは、天日槍が但馬に移る時に、鏡を埋めていったからだ、という伝説があるが、遠くか
ら見ると確かに稜線に円い鏡を載せたようにも見える。古くから歌に詠み込まれてきた名山だ。
 この鏡山(標高三八五メートル)はまたの名を竜王山というのだが、竜王町にはもうひとつ、竜王山
の名をもつ山がある。雪野山(ゆきの)(標高三〇九メートル)である。竜王町の広々とした田園地帯を
挟んで鏡山と相対している。
 鏡山も山中や山麓から古墳や須恵器の窯跡、陶片など高い文化を想わせるものが出土しているが、雪
野山もまた、五〜七世紀の古墳が二百基以上も発見されているロマンの地だ。
 それにしてもこの広々とした田園、ふたつの山裾に見る高い文化…。ここがその昔、特別な地であっ
たことがうかがえる。八日市の船岡山周辺からこの辺りにかけては蒲生野(がもうの)と呼ばれる皇室の
遊猟のための原野だったのである。額田王(ぬかたのおおきみ)と大海人皇子(おおあまのおうじ)が恋の
歌をおおらかに唱和したのがこの原野である。



 

茜さす紫野(むらさきの)いき標野(しめの)いき
野守(のもり)はみずや君が袖ふる

 

紫草(むらさき)のにほへる妹を憎くあらば
人妻ゆゑにわれこひめやも

 

本当はドロドロの権力争奪戦の万葉時代がついおおらかに思えるのは、ひたすらにこの二人の歌のお
かげなのではなかろうか。
 この蒲生野の雪野山の麓に「妹背(いもせ)の里」という水と緑の美しい空間がある。芝生でおもいお
もいにすごす人々、林の中のバンガロー、それを見守るように立つ万葉時代の男女二体のブロンズの像…。妹背″の名の通りの穏やかで優しげな空間だ。
 妹背の里の北、田んぼを挟んで見える寺が龍王寺である。建物は新しいが、奈長時代に行基が開いた
古刹である。本尊の薬師如来に随侍する木造の十二神将と、竜女にまつわる伝説の梵鐘は重要文化財で
ある。
まちづくりインデックスへ 竜王町トップへ まえへ つぎへ
Copyright(C)2001 Shigaken Kenchiku Jutaku Center. All rights Reserved.