財団法人 滋賀県建築住宅センター
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  敦賀へ抜ける北国(ほっこく)街道と美濃谷汲(み
のたにぐみ)へ向かう谷汲街道が交わる所は江戸時代、
高札がたてられた所で、今もここは”札の辻(ふだのつ
じ)”と呼ばれているのだが、この札の辻に風格ある鉄
の扉をもつ黒壁の建物が建つ。そしてその荘重さとは対
照的に軽快な石畳の中庭。水が流れ、おしゃれなガラス
のモニュメント。水は、小川を知らない子どもたちの川
遊びの場となり、モニュメントは時間や見る角度で色の
変化が楽しめるのだという。輝くガラスたちのための、
見事な静と動の舞台装置だ。その前の大手前通りも美し
いタイル舗装。ここを訪れた人はこの一角に立っただけ
で、長浜にワクワクするような予感を感じるかもしれな
い。
  鉄扉の内へ−−思わず溜息。ゆったりした館内では
時間もゆったりと流れているようだ。見学者の顔つきが
優し気だ。気に入れば、一つ二つ…と買っていく。常務
取締役の伊藤光男さんは「ここが全国への文化の発信基
地になることを夢みています。」と話して下さった。な
れるかも…。そう思ったのは、ここが展示と販売だけで
なく創作の場でもあったからだ。工房では二人の若手作
家が制作に励み、講習会も開かれている。市民だけでな
く遠来の客も多い。いつの日か、ヴェネチアグラスなど
と同じように<<黒壁ガラス>>が脚光を浴びるかもし
れない。幸か不幸か、ガラスは陶器や絵のようにまだ芸
術的分野でもてはやされることが少ない。私は、「道具
は使われてこそ生命だ」と思っているから、陶器でも使
われずに飾られるだけになっていると、たとえ何百万円
でも、器がかわいそうになり、造った人も本意ではなか
ろうに、とつい思ってしまう。だからガラス器が装飾品
であり、かつ道具であるという立場から抜けられないこ
とは用と美を満足させるものとして、ガラス器にとって
もイイことではないかと思うし、そういうガラス器に愛
着をもってしまう。
  ガラス館の裏の生糸蔵を改造したレストランも渋い
トーンで落ち着いて食事のできる所。昼食時、二階の
テーブルは談笑しながら食事する人たちの楽し気な空気
に満ちていた。
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