財団法人 滋賀県建築住宅センター
まちづくりインデックス まちづくり情報へ

 
甲南町 ▲まちづくりインデックス

美しい日本…の風景

 東海自然歩道という、東京と大阪を結ぶ全線一三五〇
キロの大自然歩道がある。昭和四十三年に厚生省から発
案され、後、環境庁の誕生で、環境庁の管轄となった道
である。一三五〇キロのうち、滋賀県は、東は土山町の
安楽越(あんらくごえ)と西は比叡山仰木峠(おおぎと
うげ)を結ぶ約九十二キロが、そのコースになった。甲
南町のコースは信楽町との境界付近の隼人橋から新田・
岩尾池、明王寺を経て伊勢廻寺(いせぼじ)の辺りまで
の約十六キロ。
 この東海自然歩道全線にわたっての詳細なガイドブッ
クをつくることになり、昭和四十五年から、四十九年に
本ができ上がるまでに何度か東京ー大阪間の自然歩道を
歩いたのだが、甲南町も懐かしい思い出とともに記録が
残っている。その時、新田集落をゆったりと悠々とし
た集落。絵を見るおもい。″と書いている。この悠々と
した風景はなんと今も変わっていない。美しい集落景観
のままだ。
 二十年という歳月で別人のように風景が変わってしま
った所は日本中にいくらでもある。時代とともに風景が
変わるのはやむをえないにしても、変化とともに先入た
ちが伝え継いできたその土地独特の風・土…、そういう
ものまで捨て去る傾向にあった高度成長の時代が、ここ
二十年の問にはあったのだが、新田や上磯尾の辺りには
まだ、絵を見るおもいの風景が残っていた。
 その高度成長期、一九六八年にノーベル文学賞を受賞
した故川端康成が語った美しい日本″という言葉が流
行語のようになった。久々に甲南町の東海自然歩道を歩
いていて、その美しい日本″のフレーズがふいに思い
出された…のだが、その日の夜、一九九四年ノーベル文
学賞の大江健三郎氏受賞が伝えられた。時は確実に魂″
のあり方を見つめる時代を迎えている、と感慨深かった。


東海自然歩道は東京一大阪を結ぶ野の道、山の道
(明王寺付近)

のどかなたたずまいの磯尾集落
まちづくりインデックスへ 甲南町トップへ つぎへ
Copyright(C)2001 Shigaken Kenchiku Jutaku Center. All rights Reserved.