財団法人 滋賀県建築住宅センター
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●日野町 ▲まちづくりインデックス

  谷の入口から美しい渓流に沿う遊歩道をたどること約
一キロ。谷を埋め尽くすシャクナゲの花・花・花…。淡
紅色の清楚な花は惜し気もなく咲き乱れている。花は五
月中旬頃まで咲き続き、その一番美しい時の四月二十九
日から一週は園地に地元の特産品店なども並んで、花を
楽しむ人たちで賑わう。期間中、渓流沿いの道にはバス
以外の車は入れない。昔人が残してくれた自然を我々は
次代へもひきつがねぱならないのだ。自然保護の問題
は、文明をシャットアウトすれば簡単だが、そういかな
い場合、どこで線をひくか、どこで妥協するか、長い目
でみたしっかりした価値観が要求されてくる。
  ところで、遊歩道沿いにもシャクナゲは点々と生えて
おり、時々、道々の花だけを見て、"群落だなんてオオ
ゲサな…。と言うアワテ者がいたりするとか。『徒然
草』の兼好法師ではないけれど“先達はあらまほしき事
なり”。谷あいの道は上るにつれ、花の数が増し、圧
巻、シャクナゲ群落となるのだ。
  シャクナゲの花が見頃の五月二日と三日、日野の町な
かでは日野祭りがくりひろげられる。綿向神社の祭礼
で、町内十六基の曳山がそれぞれ美しく飾られ、囃の音
も賑やかに町を練り歩く。曳山も日野商人たちの遺産で
ある。商人たちは得た冨をこのようにして故郷に還元し
たのである。本通りを歩くと窓のある板塀を見かける。
桟敷窓といい、家の中から曳山が練り歩くのを見物する
ためのものだが、年に一度、祭りに帰ってきた商人たち
がこの窓にもたれて、ひと時のくつろぎに浸っている姿
が想われる。

5月3日の日野祭
豪華な曳山が練り歩く
  シャクナゲの花が終わる頃、同じ鎌掛にある正法寺で
は優雅な藤の花が花房を垂れる。樹齢三百年以上という
藤の木は広い藤棚を這い、一メートルほどにもなる花房
を緞帳のように豊かに垂らす。境内には、端正な姿の鎌
倉時代の石造宝塔(重文)や芭蕉の句碑などもあり、目
の前にひろがる鎌掛の田園風景もまた美しい。
  そして六月、音羽の雲迎寺を埋める真っ赤なサツキ。
風雅な山門から続く参道、そして庭へーよく手人れされ
た風格あるサツキの古木が生い茂り、静寂の中の安らぎ
の世界をつくっている。御住職の手で育てられた木だち
で、今ではサツキ寺と呼ばれるほどの見事な花の風景が
楽しめる。

一面、サツキ。住職が丹精こめて育てあげたものだ
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