
精巧な屋根は特殊なサシ一本でできる。(彦根仏壇・屋根) |
錺金具を作る吉田紀久雄さんの仕事を見せていただ
いた。この道32年、吉田家5代目の職人さんだ。トン
トントンと打つ音は軽いが、全神経集中させての仕事。
「父から教わりました。若い時は、そりゃ、イヤだなと
思ったこともありますがネ、今は、イイ仕事だと思って
ますよ。やっててよかったなと思います。」こんな言葉
が出るのも三十余年の歳月があってのことだ。錺金具は
十年経たないと一人前にはなれないという。それどころ
か最初の三年は練習だけの明け暮れ。収入もすぐにはつ
いてこない。今の若い人に果たして辛抱できるだろうか
という危惧がある。だから、吉田さんは「いい仕事をし
ている」という誇りがあるにも拘わらず「息子に同じ道
を進め」とは言えないでいるという。伝統工芸を守る職
人さんたちの共通の悩みだろう。その不安や悩みを解消
して、この技術を絶やさないために、何らかの強いバッ
クアップが望まれる。と同時に、町自身も変わらないか
なと、通りを歩いていて、勝手なことを夢みてみた。夢
京橋の町並づくりのように……。たとえば、ここは「七
曲り・工房の町」。作業場、ではなく、アトリエとか工
房とか呼ぶことにしよう。明るい空間の工房が連なり、
通行く人が立ち止まってみる……。工房の一画で彫金の
アクセサリーを展示、販売。三年の練習期間にも楽しみ
ができる。屋根師の家なら使い残った木切れを集めて、
おもちゃ作りセットにして売ったりする……。(木切れ
は子どもにとって夢のタネなのだ)彦根仏壇は既にブラ
ンドもの。その技術に日常として出あえる町が出現した
ら、なんてユニークなことだろう。おしゃれな町に若者
たちは残り、集まってこないだろうか。夢京橋−ケヤキ
並木−工房の町、で彦根に新しいストーリーは生まれな
いだろうか。 |

彦根仏壇・屋根づくり |
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