財団法人 滋賀県建築住宅センター
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●近江八幡市 ▲まちづくりインデックス

街並みと建物にみる時間的・空間的ゆとり

  八幡の町はこの堀を境にして、内側に武家屋敷と鉄砲
町が、外側に商人町が配されていたという。堀割近くに
は豪商の家が今も残り、特に新町通りでは、質素を旨と
した八幡商人の慎み深さが伝わってくるようなしっとり
した家並みをみることができる。この町筋には郷土資料
館や歴史民俗資料館、国の重要文化財でもある、豪商の
家、旧西川家住宅などが公開されており、近江商人をよ
り詳しく知ることができる。
  ここより少し西、池田町には大正時代の洋館が数棟、
建っている。アメリカ人伝導師、W・M・ヴォーリズが
設計した家である。彼は建築家としても優れ、日本各地
でユニークな建物を残している。近江八幡には彼の自宅
(現一柳記念館)や近江サナトリウム(現ヴォーリズ記
念病院)が残っている。
  緑に包まれたヴォーリズ記念病院には、礼拝堂など数
棟が当時のままに健在だ。「多くの方がこの礼拝堂で安
らかな時をすごされたと思います。ここで洗礼を受けて
いかれる方は今でもいらっしゃいます。」とソーシャル
ワーカーの松田さんが話して下さった。最近、やっと認
識されだしたホスピスケア…。ここではもうずっと前か
ら医療伝導として行われていたのだ。今の日本の財界人
の中には、若い頃、八幡で進取の気風を身につけた人も
多い、と開いたが、なんとなくわかるようなハイカラな
風貌も、この町はもっているのだ。


ヴォーリズ記念病院の礼拝堂。
今もここで礼拝が行われている
  神戸の知人に「近江八幡といえば…?」とたずねた
ら、「ヨシ原と長命寺」という。なるほど!
  西の湖のヨシ原は確かに心に残る。この中を小舟で渡
る水郷めぐりは、実に楽しい。迷路のような水路を分け
入っていく時の気分はまるで子どもの心境だ。この先か
ら何がとびだしてくるのか、どこへ行くのか、段々と秘
密めいた気分になる。カイツブリは舟を恐れもせず、水
中に出たり入ったり…、ギョギョシ、ギョギョシとヨシ
キリは賑やかに鳴き…、そんな中からカヌーの練習船が
ひょっこり出てきたりする。この静かな湖面の下では池
蝶貝に抱かれて真珠たちが眠る。
  手をのばせば水に触れる、ような小さな舟で水面に出
る。大きな船や橋の上からでなく、小舟で水の上を渡
る。それは、水の掌にのっているような気分になるもの
だ。胎内の水の中で育まれた生命だから、人は水の姿に
安堵する、と聞いたことがある。水郷めぐりの小さな舟
に乗っている時、その言葉が実感だった。だから、なお
さら、「水たちよ、よみがえれ!」
  水と緑の町は、「水」を考える発信基地でもありた
い。

琵琶湖を見下ろす美しい寺・長命寺
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