|
 焼板、舟板で堀が続く川並集落。
|
金堂集落の南に川並という集落がある。やはり五個荘商人の故郷で、手入れされた茅葦の美しい家や陽の光を弱く跳ね返す舟板塀が続くしっとりしたいい表情の集落である。細い道がどこにつながるのか、 ワクワクしてくる空間。塀のところどころに(ネコ、
飛び出し注意)〜子供、飛び出し、ではない!〜 (ネコ出没注意)の絵看板! なんだか住んでいる人たちの顔どころか声まで聞こえてきそうな気がする。ここは通常は一般公開している家はないが、毎年九月二十三日に行われる「ぶらりまちかど美術館・博物館」という催しでは、特別公開になる家が数軒ある。勝海舟の『氷川清話』に登場する治山の父と言われた塚本定次の邸もここにあり、その時、 公開される。 |
| 集落を抜けたところに淵の井という湧水池があった。やはり、きれいに掃除が行き届いている。この辺りまできて気がついた。
町全体がきれいである。清々しい、と言えばよいか。五個荘町は町まるごと博物館構想を標榜する町なのだが、それは見学できる何かがある、というこ
とではないのだと。それよりもまず清々しい空間である、ということだと。極端に言えばそれだけで十分「博物館」の称号にふさわしい、と感じた。思うに、人間、顔や容姿の造りは写真で判るが、人格までは判らない。人格は接してみてはじめて判る。町も同じだ。町の様子はパンフレットで分かるが、パ
ンフレットでは見えなかったこと、たとえば町の人とか清潔さとか、は町を歩いてはじめて判る。だから、歩くことでステキを感じた、というのは、ここは人格ならぬ町格のある町、と言っていいのでは、と思う。 |
|