綺田集落の北、石塔集落を山の方に突き当たった
辺り、天台宗の石塔寺がある。美しい赤松の林の中、
右投を上がると、思わず目を見張る。高さ七メート
ル余りの花崗岩の三重塔が夥しい数の五輪塔や石仏
に囲まれてスックとたっている。塔は大きいが威圧
感はない。屋根は円みを帯び、どっしりと、ゆった
りと、みるからに大陸的なフォルムだ。日本最古最
大の石の三重塔。インドの阿育王(アシュカオウ)
が釈迦入滅百年のときに仏教興隆を願って八万四千
の塔を三千世界に撒いた。その一つが日本の近江に
埋まっていると伝え聞いた一条天皇が探索。発見さ
れたのがこの石塔寺の塔だったという。
実際には百済(くだら)系の渡来人が建立したの
ではないかと考えられている。これとよく似た塔が、
かつて百済の都であった扶徐(フヨ)〈韓国〉のお
寺にもあるのだそうだ。ちなみに蒲生町はこの三重
石塔のご縁で韓国扶餘郡場岩面と姉妹都市になり、
交流をすすめている。
数年前、地蔵盆の日、石塔寺万灯祭を見に行った。
無数の石塔や石仏すべてに灯が献じられる。闇の中
にポッと揺れるロウソク。石仏一体一体のおもいが
揺れているように見えた。同じように参道に吊られ
たこどもたちの手作りの行灯もいろんなおもいを揺
らしているようで美しかった。
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石塔寺の石の三重塔。
わが国最古最大のものである。
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