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林相が凛々しい兵主大社庭園
兵主まつり
▲毎年5月5日に賑わう兵主大社の兵主まつり
  中世、この地がいかに豊かであったかを今に伝えているのが兵主(ひょうず)大社である。町のほぼ中心部に位置している。
  朱色の鳥居をくぐると、やはり朱色の楼門。足利尊氏が寄進したと伝えられる門だが、入母屋造りの屋根は誇り高くピンと反り、いかにも尊氏然として、小気味よい美しさだ。
  楼門から拝殿までは百メートルほどあろうか…。楓の木が多い。その楓の老樹の背後が美しい林である。林相が凛々しい。
  この林は兵主大社の庭園である。
  中の島を浮かべた心字池を中心とする池泉回遊式庭園だが、作意を感じさせないのびやかさがある。州浜状の緩やかな岸に仕立てた池や石橋からはいくらか貴族好みの雅びを感じるのだか、全体を見回すと、贅がなくキリリとして清々しい。
  庭一面を覆う苔。その苔をかばうように生える樹木。密生せず、ほどよい木洩れ陽を苔に届けている。実に美しい庭だ。
  この庭は最近まで鎌倉中期のものだろうと言われていたのだが、池の岸の造り方が平安時代のものとわかり、それよりさらに古い庭園であると判明した。この池に注ぐ水は、林の中を南門の辺りから導水溝で引いていたのである。その美意識、その技術。この地が豊かに時をすごしていた証しの一つだ。
  この導水溝、長い間、埋もれてしまっていたが、この度、復元された。平成三年からの整備事業が一部終わり、林の中に続く導水溝が四月から見学できるようになったのだ。庭園全体の整備が完了するのは、もう二、三年先になるようだが、それにしても、源頼朝や皇室から賜った宝物と並んで、兵主大社にさらに宝が加わったことになる。
  五月五日、兵主大社では町内各地から大小三〇の太鼓や神輿がくり出す勇壮華麗な兵主まつりが行われるのだが、今年は喜びも一入の祭りになるに違いない。
兵主神社庭園
▲名勝に指定されている兵主神社庭園、
苔の美しい池泉回遊式庭園だ。
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